2025年5月16日#企業法務
フランチャイズ（FC）と聞くと、飲食チェーンやコンビニを思い浮かべる方も多いでしょう。
しかし、フランチャイズという言葉は知っていても、フランチャイズのビジネスモデルや仕組みについて、正確に理解している人は意外と少ないと思います。実は、多くのビジネスにおいても使えるのがフランチャイズ（FC）です。
そこで、この記事では、フランチャイズとは何か、その仕組みや特徴を、初心者にもわかりやすく解説します。
成功しているビジネスモデルやノウハウ、ブランド・店名を、フランチャイズ本部（フランチャイザー）が加盟店（フランチャイジー）に使用を許諾し、それらをもとに加盟店がそのビジネスを運営する仕組みを指します。
フランチャイズ本部は、ノウハウやビジネスモデルの使用を許諾する対価・見返りとして、加盟店から契約時の加盟金や契約継続中のロイヤリティを受け取ります。
フランチャイズは、加盟店はフランチャイズ本部から支援を受けて事業を行うことで利益を受け、フランチャイズ本部は加盟店が成功してロイヤリティを受けることになります。そのため、フランチャイズは、両者が利益を得る「相互利益型モデル」といえます。
フランチャイズにおける本部と加盟店の関係は、独立性を持ちつつ、加盟店が本部から一定の指導や制限を受ける「パートナー関係」です。
加盟店は独立した事業者ですが、完全な自由経営ではなく、ブランド維持のため一定のルール遵守が求められます。
| 項目 | フランチャイズ展開 | 直営店展開 |
|---|---|---|
| 資金調達 | 加盟店の出資で店舗拡大が可能であるため、自社資金が不要 | 自社資金で出店する必要があるため資金負担が大きい |
| 成長スピード | 加盟店の力を借りて、短期間で多店舗展開が可能 | 組織能力・資金に依存するため、出店スピードが遅くなることも |
| 運営コスト | 店舗運営は加盟店が行うため、人件費や管理コストが抑えられる | 全店舗の人員・管理を本部が行うため、コストが高い |
| リスク分散 | 個別の店舗リスクは加盟店が負担 | すべてのリスク（経営・労務・設備）は本部が負担 |
| ブランド統制 | 加盟店に任せる部分が多く、ブランド毀損リスクあり | 本部が一貫して管理でき、ブランド品質を維持しやすい |
| ノウハウの流失 | 加盟店を通してノウハウが流失する危険性がある | 直営店でノウハウを囲込むことができるので、ノウハウ流失の危険性が低い |
| 経営の自由度 | 加盟店の権利との兼ね合いで制限される場合がある | 全面統制が可能で、柔軟な経営判断が可能 |
| 人材育成 | 加盟店に依存。統一した教育が難しいことも | 本部主導で人材育成が可能、組織力を高めやすい |
フランチャイズ展開をしていく場合には、コストを抑えつつ、スピード感をもって展開できるメリットがあります。他方で、ブランド統制の難しさやノウハウ流失の危険性があるというデメリットがあります。
そのため、フランチャイズ展開を進めるにあたっては、法務の観点からデメリットをどのように小さくするかが重要になります。
フランチャイズ展開は、ビジネスを早く拡大するのにとても有用な仕組みであり、また、地方から全国にビジネスを拡大する手段として強力な手段になり得ます。
他方で、デメリットもあります。そのため、フランチャイズの仕組み作りや法務の観点を疎かにすると、後で「こんなはずじゃなかった」という後悔にもつながりかねません。
そのため、フランチャイズ展開を検討している店舗や企業の方は、まず法務の観点を含めた仕組みと特徴をしっかり理解した上で、慎重に判断しましょう。
当事務所では、フランチャイズの仕組み作りから法務面までサポート可能であるので、ご希望の方は当事務所までお気軽にご相談ください。