フランチャイズ契約書に必ず盛り込むべき重要条項 本部が失敗しないためのポイント

フランチャイズ展開における本部と加盟店が締結するフランチャイズ契約書は、いわば、本部と加盟店との「ルールブック」です。
そのため、しっかりとしたフランチャイズ契約の内容を設計しなければ、後に重大なトラブルや経営リスクを引き起こす可能性があります。
本記事では、弁護士の立場から、フランチャイズ契約書において必ず盛り込むべき重要な条項と、注意すべきポイントを詳しく解説します。

1. なぜフランチャイズ契約書は慎重に作る必要があるのか

フランチャイズ契約書は、本部と加盟店の双方が円滑な関係を維持し、ブランド価値を守るための最重要ドキュメントです。

例えば、契約内容が不明確だった場合、

  • 加盟店が「加盟時に聞いていた話と違う」として訴訟を提起する
  • 想定していなかった義務を本部が負うことになる
  • 加盟店撤退が相次ぎ、ノウハウが流失する

など、フランチャイズ展開や経営に致命的な影響を及ぼすことも珍しくありません。

2. トラブル防止に必須な重要条項

では、このようなフランチャイズ展開におけるトラブルを防止するためには、実際にどの条項を重点的に整備すべきでしょうか。

フランチャイズ契約書に盛り込むべき最重要条項は、次の5つです。

  • 商標使用権
  • 営業地域(テリトリー)
  • 契約期間と更新
  • 契約終了後の競業避止義務
  • 加盟店サポート義務

以下、具体的に見ていきます。

(1) 商標使用権

ア. 商標使用権の内容

フランチャイズでは、本部が定める商標(ブランド名・ロゴマーク等)を使用することが前提になります。

そのため、

  • 商標を使用できる範囲
  • 商標の使用にロイヤリティとは別に使用料が発生するか否か
  • 使用ルールの遵守義務

を明確にしておく必要があります。

イ. 商標使用権に関する記載例

加盟店が独自に改変したロゴを使った場合、ブランド価値が毀損するリスクがあるため、事前承認制を設ける。

(2) 営業地域(テリトリー)

ア. 営業地域(テリトリー)の内容

加盟店が独占的に営業できる地域(テリトリー)を設定するか否かは、加盟者にとって大きな関心事です。

そのため、テリトリーを設定する場合には、以下のようなポイントを押さえておく必要があります。

イ. ポイントと記載例
【ポイント】
  • 明確な地理的範囲を設定する
  • フランチャイズ本部の新規開発権との調整ルールを記載する
【例】

「半径3km以内には新規加盟店を出さない」と明記することで、加盟店の安心感を高めるといった方法もあります。

(3) 契約期間と更新

ア. 契約期間と更新の内容

契約期間をどのくらいに設定するか、また契約の更新の条件を定めることも重要です。通常は、フランチャイズの加盟時における投下資本の回収を加味して、3~5年に設定するケースが多いですが、フランチャイズの内容によって変えるのが最適です。

イ. 契約期間と更新の条項に関する注意点
  • 自動更新にするか、都度協議とするか
  • 更新拒否できる場合の条件(例:重大違反時)

適切な期間設定と、更新手続きの明確化が後のトラブル防止につながります。

(4) 契約終了後の競業避止義務

ア. 契約終了後の競業避止義務の重要性

加盟契約が終了した後、元加盟店オーナーがすぐ近隣で競合店を開業してしまうと、本部にとって大きな打撃です。

イ. 契約終了後の競業避止義務を定める場合のポイント

そのため、以下の点を明示することが重要です。

  • 競業禁止の期間
  • 競業禁止の地域
  • 競業禁止に違反した場合の違約金

を明示することが重要です。
ただし、競業禁止による過度な制限は、無効とされるリスクもあります。
そのため、競業禁止の期間・地域・違約金を適正範囲に留める必要があります。

(5) 加盟店サポート義務

ア. 加盟店サポート義務とその限界を明確に

フランチャイズに加盟するにあたり、加盟店から見れば、本部による「教育・支援」が契約の魅力の一つです。

しかし、本部による教育・支援内容を曖昧に記載すると、加盟店から「思っていたより支援が少ない」とクレームを受ける原因になります。

イ. 加盟店サポートの対応例

そこで、フランチャイズ契約においては、以下のような対応例を定める方法もあります。

【対応例】
  • 提供する教育・支援内容を具体的に列挙
  • 提供しない支援項目も明記

フランチャイズ契約書上、教育・支援の範囲を明確に制限しておくことが本部の防衛策になります。

3. フランチャイズ契約書作成時に弁護士に相談すべき理由

フランチャイズは、内容によってビジネスモデルも大きく異なるため、テンプレートを流用しただけでは、自社モデルに合致した契約書にはなりません。

特に、契約期間やフランチャイズ契約終了後の競業避止義務は、無効のリスクを回避するために、各フランチャイズの内容に応じて最適な定めにする必要があります。

この点、弁護士に相談することで、

  • 本部にとって不利な条項がないかチェックできる
  • 業界特有のリスクに即した条項設計ができる
  • 訴訟リスクを減らし、ブランドを守れる

という大きなメリットがあります。

4. まとめ 万全な契約で安心できるフランチャイズ展開を

フランチャイズ契約書は、フランチャイズ展開成功の「土台」です。これは地方発のフランチャイズでも変わりません。

万全な契約設計によって、安心してビジネスを拡大していきましょう。

当事務所では、フランチャイズ契約書の作成・レビューを数多く手がけています。 まずはお気軽にご相談ください。

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