フランチャイズ契約の競業避止義務とは?本部が押さえるべき設計ポイントと無効リスク

フランチャイズ契約には必ずと言ってよいほど盛り込まれる「競業避止義務」。これは、フランチャイズ契約終了後や加盟店脱退後に加盟店オーナーが競合事業の実施を防ぐためや営業秘密漏洩防止のために設けられる条項です。

この記事では、競業避止義務の意味、設計のポイント、注意すべきリスクについて詳しく解説します。

1. 競業避止義務の基本

(1) 競業避止義務の内容

ア. 競業避止義務の意味

競業避止義務とは、加盟店オーナーに対し、一定期間・一定地域において、競合するビジネスを行うことを禁止する義務を課す条項です。

イ. 競業避止義務の主な対象行為
  • 同業態の店舗を独自に開業する
  • 他社フランチャイズに加盟して同種営業を行う
  • 顧客リストを利用して競合ビジネスを始める
ウ. 競業避止義務の効果

これを設けることで、本部のブランド価値・ノウハウ流出を防ぐことができます。

(2) 競業避止義務の適用期間・地域設定の考え方

ア. 期間設定
  • 一般的には「1年~2年程度」が多い
  • あまりに長期間(例:5年以上)は無効と判断されるリスクあり
イ. 地域設定
  • 元店舗の営業圏(例:半径3km以内)
  • 地域密着型ビジネスなら、より広い地域も正当化されることがある

(3) 競業避止義務の注意点

期間・地域等の競業避止義務の内容が「合理的範囲内」でなければ、裁判で過剰な制限として、公序良俗違反と判断されて無効とされる可能性があります。

2. 過度な制限による無効リスクと注意点

(1) 誤った競業避止義務の内容のリスク

競業避止義務は、設定を誤ると以下のようなリスクを招きます。

  • 加盟店オーナーから無効主張・損害賠償請求
  • 強すぎる制限による裁判敗訴リスク
  • フランチャイズ本部イメージダウン(「ブラック企業」扱い)

(2) 過度な制限とならないようにするための対策

  • 必要最小限の期間・地域設定にする
  • 加盟時に競業避止義務の存在と内容をしっかり説明し、書面化する
  • 弁護士による条項チェックを受ける

3. まとめ 競業避止義務はブランドを守る「最後の砦」

フランチャイズビジネスにおいて、競業避止義務は本部ブランドを守るための非常に重要な仕組みです。特に、競合が少ない地方のフランチャイズにおいては、加盟店オーナーが競合事業を無断で実施することは、フランチャイズ本部にとって大きな損害になり得ます。しかし、競業避止義務の設計・運用を誤ると逆にトラブルの火種となりかねません。
適切な条項設計と、加盟者への十分な説明を徹底し、リスクを未然に防ぎましょう。
当事務所では、競業避止義務を含むフランチャイズ契約設計について、実務経験豊富なリーガルサポートを提供しています。

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