フランチャイズ契約における法定開示書面とは?本部が知っておくべき義務と注意点

フランチャイズ契約の締結において、フランチャイズ本部は、加盟店に対し、「法定開示書面」という重要な資料を交付することもあります。

この法定開示書面は、単なる案内資料ではなく、加盟希望者が冷静に判断するために欠かせない法的義務資料です。

今回は、法定開示書面とは何か、なぜ重要なのかを詳しく解説します。

1. 法定開示書面の目的と法律上の義務

(1) 法定開示書面の必要性

ア. 法定開示書面とは

法定開示書面とは、フランチャイズ契約の内容やリスクに関する重要事項を、加盟希望者に事前に説明するための書類です。

イ. 法定開示書面の名称

この法定開示書面は、「FC契約要点」、「フランチャイズ契約の要点と概説」などと呼ばれていることもあります。

(2) 法定開示書面の交付義務

ア. 法定開示書面の交付義務の有無

中小小売商業振興法という法律では、本部に対し、会社概要やフランチャイズ契約書の内容を要約して分かりやすく記載した書面を加盟希望者に事前に交付し、その内容を説明することを義務づけており、法定開示書面はこの書面にあたります。
ただし、中小小売商業振興法に基づく法定開示書面の提示については、小売業と飲食業でフランチャイズ展開をしている本部のみが義務を負っています。

イ. 法定開示書面の交付のメリット

【メリット】

  • 加盟希望者が適切な判断をできるようにするため
  • よくわからないまま契約してしまった」という事態を防止するため

2. 法定開示書面の交付タイミングと確認方法

(1) 法定開示書面の交付タイミング

  • 契約締結日の14日前までに渡すのが望ましい
  • 口頭説明だけでは足りず、書面(PDF含む)による交付が必要です。

(2) 法定開示書面に記載すべき一例

  • 本部の経営状況(売上・赤字・倒産歴など)
  • 直営店・加盟店の店舗数推移
  • 加盟金・ロイヤルティの詳細
  • 契約解除条件、競業避止義務の内容

3. フランチャイズ本部が注意すべき作成ミス

フランチャイズ本部側としては、記載の仕方について以下のような大きな注意点があります。

【本部がやりがちなミス】

  • 記載漏れ(例:過去5年間の裁判履歴を未記載)
  • 数値情報の更新忘れ(古いデータのまま)
  • リスク説明の不十分記載

これらのミスがあると、契約後に「重要事項説明義務違反」とみなされ、契約解除・損害賠償リスクにつながる可能性があります。

4. まとめ 法定開示書面は「読むだけ」ではなく「理解する」

フランチャイズ本部側としては、法定開示書面の誠実・正確な開示に努めることで、トラブル防止と信頼構築ができます。

誠実な情報開示こそが、トラブル防止とネットワーク発展のカギです。フランチャイズ本部・加盟希望者双方が、法定開示書面をしっかり確認・活用して、安心できるフランチャイズ展開を目指しましょう。

当事務所では、フランチャイズ契約書の作成・レビューと共に、法定開示書面の作成・レビューも対応しております。

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